財務諸表(国立大学法人)

 国立大学法人および大学共同利用機関法人(国立大学法人等)は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終了する事業年度ごとに財務諸表を作成して、事業年度終了後3月以内に文部科学大臣に提出し、その承認を受けなければならない。国立大学法人等が作成すべき財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、利益の処分または損失の処理に関する書類、国立大学法人等業務実施コスト計算書およびこれらの附属明細書である。また、連結決算を行う場合は、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結剰余金計算書、連結国立大学法人等業務実施コスト計算書および連結附属明細書も財務諸表として提出することになる。貸借対照表は、法人の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債および純資産を記載した計算書であり、損益計算書は、法人の運営状況を明らかにするため、一会計期間に属するすべての費用とこれに対応するすべての収益とを記載した計算書である。キャッシュ・フロー計算書は、法人の一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を、業務活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローという3つの活動区分別に表示する。国立大学法人等の利益の処分または損失の処理に関する書類は、当期未処分利益の処分または当期未処理損失の処理の内容を明らかにするために作成する。国立大学法人等業務実施コスト計算書は、国立大学法人等の業務運営に関して、国民の負担に帰せられるコストを表示する計算書であり、損益計算書上の費用から、学生納付金や病院収入等の自己収入を控除し、損益外費用や機会費用などを加えて作成する。この他、貸借対照表および損益計算書等の内容を補足するため、附属明細書を作成する。附属明細書においては、セグメント情報の開示が要求されている。
(大貫 一)