財団

 特定の目的を有した財産の集合体のことをいう。プラトンの学園アカデメイアなどは財団の初期形態と認識されており、日本においても江戸時代の懐徳堂は財団である。財団に関する法制度は各国で非常に異なっており、一律に定義することは難しい。日本においては、法人格を有しない財団は権利能力なき財団として扱われる。法人格との関係では日本においては一般法人法のもとで法人格を有するものを一般財団法人という。また、一般財団法人のうち公益認定法4の認定を受けたものを公益財団法人という。一般財団法人は設立に際して設立者が拠出をする財産の合計額は300万円を下回ってはならず(一般法人法153Ⅱ)、また、ある事業年度およびその翌事業年度に係る貸借対照表上の純資産額がいずれも300万円未満となった場合において、当該翌事業年度に関する定時評議員会の終結の時に解散する(同法202Ⅱ)。機能の点から、自らが事業を行う事業型財団、他の組織に助成金を拠出する助成財団の2分法が一般的であるが、両方の機能をもつものもある。特に、後者の助成財団はアメリカで突出的に発展し、各国に広がったのは20世紀後半くらいからである。また、出捐者や運営別には家族財団、独立財団、企業支援財団、コミュニティ財団の4分類が一般的である。このうち、アメリカの家族財団については運営も家族で行うので日本の公益認定法に抵触するため、日本では公益法人としては存在しない。独立財団とは、理事が出捐者から独立したものである。コミュニティ財団は財団内部の基金を広く一般から集めたもので基金を住居に見立てた「マンション型財団」とも呼ばれて、アメリカとカナダだけに存在していたが、東欧革命以降、ヨーロッパをはじめ世界に普及した。また、日本では基金を有するタイプのストック型のコミュニティ財団は公益財団法人大阪コミュニティ財団を嚆矢とするが、公益法人制度改革以降は、市民の拠金で財団が設立され、フロー中心のコミュニティ財団が各地に誕生した。以上の分類以外では、日本では行政委託型法人、台湾では公的財団と呼ばれる政府との関係が深い財団の分類が、台湾では一般の財団と異なる規制となっている。また、ヨーロッパでは企業を丸ごと所有する財団もある。イタリアでは民営化の過程で政府系の銀行が財団となって、株式を所有する形態が誕生している。一概に財団といっても非常に多様である。
(出口正之)