在住外国人

 日本国内で生活もしくは滞在している外国人を指す。出入国管理及び難民認定法(入管法)(昭和26年政令第319号)では、外国人を「日本の国籍を有しない者」と規定する(同法2)。外国人が日本に入国・在留し活動をするには一定の在留資格を要する(同法2の2)。住民基本台帳法では、日本の国籍を有しない者のうち、「中長期在留者」、「特別永住者」、「一時庇護許可者又は仮滞在許可者」、「出生による経過滞在者又は国籍喪失による経過滞在者」で市町村区域内に住所を有するものを「外国人住民」と定義し、住民票が作成され印鑑登録ができる。中長期在留者とは、入管法上の在留資格をもって日本国に在留する外国人をいう。特別永住者は、戦前から日本に居住していた外国人でサンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った者で、大半が韓国・朝鮮人、台湾人が占めている。一般永住者は、一定の要件を満たして永住を許可され、中長期在留者として居住している外国人のことをいう。1980年代から急増して平成19(2007)年末に特別永住者の数を上回った。その要因は、政府による中国帰国者およびインドシナ難民の受入れや、昭和58(1983)年の「留学生10万人計画」実施などによるグローバル化の推進と80年代後半のバブル景気における労働力不足を補うためのアジアからの移住者の受入れがあり、90年代のバブル崩壊以降は安価な労働力確保のために外国人労働者に注目するようになり、入管法改正による在留資格の再編、技能実習制度の導入により、日系南米人、とりわけ日系ブラジル人の受入れ拡大とアジアを中心とする技能実習生の受入れなどで、いわゆるニューカマーと呼ばれる人々が増大していった。
 法務省入国管理局の統計では、令和元(2019)年末現在の中長期在留者が約241万人、特別永住者が約32万人であり、国・地域別では、中国が約76万人(全体の28.0%)、韓国が約45万人(16.5%)、ベトナムが約33万人(12.1%)、フィリピンが約27万人(9.9%)、ブラジルが約20万人(7.4%)、ネパールが約8万9,000人(3.3%)、インドネシアが約5万6,000人(2.1%)である。このうち、ベトナム、ネパール、インドネシアからの増加率が顕著に高くなっている。居住地別では、東京都の約57万人がもっとも多く(全国の20.8%)、以下、愛知県(約26万人)、大阪府(約24万人)、神奈川県(約22万人)、埼玉県(約18万人)と続く。訪日外国人旅行者(短期滞在外国人)は、ビザ発給要件緩和で急増し、令和元年には約3,188万人に至り、中国、韓国、中華民国、香港の4つの国と地域で7割以上を占めていたが、令和2(2020)年には新型コロナウイルスの拡大のため一気に減少し、同年4月には、前年同月比99.9%減の2,900人であった(日本政府観光局[JNTO]発表数値)。
 外国人住民が増大した地方都市では、外国人住民の抱える課題の解決や生活支援とともに、多文化共生の理念のもとで、地域社会の構成員として社会参画を促す仕組みづくりがすすんできている。課題としては、技能実習生や留学生など外国人労働者の人権蹂躙問題、外国人犯罪の増加、地域住民とのトラブルや各種行政サービスへのアクセス障害解消などがある。また子どもの教育問題も深刻であり、外国人地方参政権の付与をめぐる課題なども出てきている。各地でそうした在住外国人を支援するNPOが増え、各自治体においても課題解決への取り組みに力を注いでいる。入管法改正に合わせ、平成30(2018)年12月に法務省が発表した「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」では、情報の多言語化、相談体制整備、多文化共生の取り組み、医療・健康・福祉サービスの整備、災害時対応、各種トラブル相談、住宅確保、日本語教育の充実等や適正な労働環境等の確保などが盛り込まれている。
(三木秀夫)