災害義援金

 お見舞いやお悔やみの意味を込めて、被災者への支援を目的として直接的に渡される寄付金である。「災害義捐金」と記述されることがあるが、読み方は同じく「さいがいぎえんきん」である。なお、似た用語として「災害支援金」が存在するが、こちらは被災地の支援活動をするNPOやボランティア団体の活動への支援金である。寄付者からの視点で捉えると被災者への間接的な支援ということになる。 災害が発生すると、日本赤十字社、中央共同募金会、各種報道機関などによって災害義援金の受付けが始まる。集められた金は被災した都道府県にそれぞれ設置された「義援金配分委員会」を通じて、被災者のもとへ配分される。日本赤十字社では、できるだけ早く配る「迅速性」、適正に配る「透明性」、被災者に被害の度合いに応じて配る「公平性」を、義援金の3原則としている。しかしながら、迅速に配布しようとすればするほど、公平性の担保が難しくなるために、これらの3原則のすべてを遵守するのは実際には困難である。配分で金額の基準とされるのは、おもに人的被害と住家被害の程度である。人的被害では、死亡・行方不明者に対しての見舞金が支払われるが、亡くなった人への配分は不可能であるため、その遺族が受給の対象となる。さらに、災害による後遺症で障害を背負うことになった「災害障害者」への見舞金も存在する。住家被害では、罹災証明での判定に基づき、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊といった基準に合わせて配分額が支給される。災害義援金は長期に受け付けている場合には、災害義援金の配分は第1次配分が行われたあとに複数回にわたって分配されている。災害によって集められる義援金の総額と被災者数が異なるため、被災者に配分される金額は一定ではない。近年の大規模災害をあげると、阪神・淡路大震災では1,793億円、東日本大震災では3,833億円の義援金が集まったが、被災者数も多かったために1人当たりに配分される総額はそう多くはなかった。
(菊池 遼)