コミュニティ利益会社

 イギリスにおいて2004年の会社法改正時に設けられた、社会的企業の一形態である。コミュニティ利益会社の資産および利益は、地域の社会的課題の解決に還元することが求められる。法人形態としては、会社法に基づく株式有限責任会社(CLS)、保証有限会社社(CLG)の形態をとるが、その活動がコミュニティの利益のために実施されているかについて判断するコミュニティ利益テスト(community interesttest)を満たすことが要求されている。コミュニティ利益会社の特徴として、資産処分制限(asset lock)や配当の支払制限などの制度がある。資産処分制限は、資産をコミュニティの利益に活用するために内部に原則として留保し、資産の社外移転を制限することである。また、コミュニティ利益会社は会社であるため、利益をえて配当を行うことができる。ただし、会社本来の目的がコミュニティの利益になることであるため、投資家への利益分配には制限が設けられている。これらの制度によって、資産がコミュニティの利益のために活用されることが保証されている。
(上原優子)