コミュニティボンド

 市町村がコミュニティ施設を整備するために、特別に債券を発行して資金を調達する仕組みである。日本では、昭和45(1970)年に旧自治省が提唱した「モデルコミュニティ構想」の一環で制度が制定された。実際に発行されたのは3事例(兵庫県神戸市、栃木県高見沢市、岩手県山田町)にとどまったが、当時のコミュニティ活動と密接に関係した資金調達方法である点に特徴がある。群馬県の「愛県債」が第1号の発行事例とされ、現在においても発行されている住民参加型ミニ公募債(住民参加型市場公募地方債)とは、コミュニティの発展に寄与する目的および住民自治推進の点で共通するが、住民参加型ミニ公募債は、地方分権・財政投融資改革を背景とし、対象事業がインフラ整備であること、不特定多数を対象として発行額が大きい点で相違する。なお、コミュニティボンドを広い概念で捉え、住民参加型ミニ公募債を、その1つとする考え方も存在する。
(八島雄士)