コミュニティ・シネマ

 一般社団法人コミュニティシネマセンター(JCCC:Japan Community Cinema Center)が平成15(2003)年に発表した「コミュニティシネマ憲章」によれば、コミュニティ・シネマとは、「公共上映を行う主体として、地域に根ざした上映活動やそれに関連する事業を継続的に行っていく非営利団体」である。ここで、「公共上映」とは、商業上映の対概念である非商業上映とほぼ同義であるとされ、公共ホールのような会場での上映だけではなく、一時的な商業映画館の借り受けによる上映をも含むものである。また、JCCCは、コミュニティ・シネマのミッションとして、「上映環境の地域格差の是正と上映作品の多様性の確保」、「多様なコミュニティに対する多様な上映機会の提供」、「メディアリテラシーの向上など教育的使命を実現すること」、「地域に対する貢献」の4項目を掲げている。平成29(2017)年6月23日、文化芸術振興基本法がその名称も含めて改正され、文化芸術基本法(平成13年法律第148号)として公布されたが、その第9条に以下のような条文がある。すなわち、「国は、映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(メディア芸術)の振興を図るため、メディア芸術の制作、上映、展示等への支援、メディア芸術の制作等に係る物品の保存への支援、メディア芸術に係る知識及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずるものとする。」であるが、このなかで、映画は「メディア芸術」として位置づけられ、日本の文化政策の対象とされている。これを受けて、JCCCは、コミュニティ・シネマが前述のミッションを遂行する過程において「地域住民に対する映像芸術、映画文化の普及と振興、映画映像教育の実践、ひいては地域における映画映像環境全般の活性化を担うことになる。」として、地方自治体がコミュニティ・シネマ施策を立案し、実施する「公的な支援制度」を求めている。
(伊佐 淳)