今後の課題としては、先の調査で回答した市区町村のうち58.4%には地域運営組織がなく、この地域にどのようにして地域運営組織を形成していくのかが大きな課題の1つとされている。また、行政からの支援策のうち助成金等の活動資金支援が73.0%であることも報告されている。そこで、コミュニティ便益基準をどのように考えるかが課題となる。公共支出評価の1つである費用便益分析において、助成金等の便益は、地域運営組織の活動量ではなく、活動により地域課題がどの程度解決されるか(されたか)など、コミュニティに与える効果を便益として設定する必要があろう。しかし一方、活動内容の違いで効果があらわれる時期が異なる可能性や地域性が影響することも考えられる。この点、同調査では明らかにされていないが、今後の実績の積み重ねと調査研究が必要である。
(黒木誉之)