国立大学法人会計基準・実務指針

 国立大学法人および大学共同利用機関法人(国立大学法人等)に適用される会計基準のことである。独立行政法人会計基準を参考とし、教育研究機関としての国立大学法人等の特性を考慮した基準となっている。国立大学法人会計基準には、企業会計原則にならって注解が付されている。また、基準および注解に関する実務上の留意点を質疑応答(Q&A)形式で記述したガイドラインとして、国立大学法人会計基準等実務指針が作成されている。国立大学法人会計では、法人が中期計画に沿って通常の運営を行った場合、運営費交付金等の財源措置が行われる業務については、その範囲において損益が均衡するように損益計算の仕組みが構築されている。運営費交付金、寄附金、補助金などの収入は、原則、いったん負債に計上したうえで、費用の発生に応じて収益化を行う一方、現物出資、施設費などを財源として取得した資産の減価は、対応する収益がないため、損益計算にはかかわらせない。国立大学法人等の会計においては、資本取引と損益取引とを明瞭に区別しなければならないとされ、純資産の部は、資本金、資本剰余金および利益剰余金に区分される。その他有価証券の評価差額がある場合には、利益剰余金のつぎに表示する。損益計算書において計算した利益(当期総利益)から、繰越損失があればそれを補塡した額が、当期未処分利益の額となる。当期未処分利益は積立金として整理するが、文部科学大臣から経営努力認定を受けた額は、目的積立金として、中期計画の目的に使用することができる。中期目標期間の最終年度では、貸借対照表上の利益剰余金は、いったん、すべて積立金として整理され、次期目標期間への繰越が認められなかった額は、国庫に返還される。国立大学法人等は、連結の範囲に含める特定関連会社(企業会計の子会社に該当する)がある場合には、関係法人集団の財政状態および運営状況を総合的に報告するため、連結財務諸表を作成する。
(大貫 一)