コーポレート・シティズンシップ

CC:Corporate Citizenship
 企業市民と訳されている。企業は、株主等のために利益を最大化し、併せて企業は社会を構成する一市民として存在する。それゆえ社会の構成員の一市民として社会的貢献をすべきであるという考え方である。これは企業の存在する地域社会やコミュニティに対して一市民と同様に、企業は地域の文化、教育、環境等多岐にわたる援助や支援活動等を実践することを意味する。コーポレート・シティズンシップ(CC)の統一された定義や概念は存在しない。1950年代にあらわれた企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)が、1970年代から専門的に議論されはじめたことに起因する。CSRの中心的なモデルは、1つは経済責任(収益追求)、2つが法律責任(法令順守)、3つが企業倫理責任(正しいこと、公平さ、ボランテイアをすること)、4つが慈善事業責任(教育、文化活動への献金等)で、この4つを実践することだった。この4つは、企業への強制ではなく「為すべきこと」という理解で定着していた。しかし、「為すべきこと」の意味のあいまいさが指摘され、さらに企業倫理責任や慈善事業責任が中心的な議論等であったことから、ステークホルダー論者等からCSRは評価されず、企業倫理という文言が適切ではない、あるいは企業への贈物でもなく妨害するような概念と受け止められた。これに代替する考え方のCCが1990年代に入り脚光を浴びるようになった。CCの成立は、企業が合法的に社会的地位を占め他の市民と一緒になりコミュニュティを構成していることに光が当てられた結果である。この新しいCCが、管理論や実務界の専門用語として議論が始まり、CCは経済的義務、法律的義務、倫理的義務、慈善事業的義務を果たし、その範囲は文化、教育、環境面等にわたる。今日CCという専門用語は、コンサルタント、経営者、雑誌等に取り上げられ、学究分野や実業界においても関心が高まり専門的研究センターが創立されている。さらに企業のCSRと同様に理解され、管理論、政治学、社会学で研究がすすんでいる。CCの目標は、ステークホルダーの利益追求と高度な生活様式や良質な暮らしを地域社会やコミュニティ周辺へ提供する社会的貢献にある。ある家電メーカーは人材、機会、創出、相互理解を切り口に、環境保全、科学振興、芸術文化振興、災害支援等の企業市民活動を行っている。一方個人投資家や機関投資家たちは、CCの実践状況等を投資決定要因の一助にしている。
(山田國雄)