合理的配慮

 障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、個人の特徴や生活のあらゆる場面で発生する障害や困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことである。日本においては、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」や令和2(2020)年4月に一部改正された「障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)」において、事業者に対して合理的配慮の提供義務が課された。なお、合理的配慮の提供義務を定めた「障害者差別解消法」施行の背景には、平成18(2006)年に国連総会で採択された、「障害者権利条約(障害者の権利に関する条約)」という国際条約がある。この条約の第2条において、「合理的配慮の否定」も「障害に基づく差別」であると定義づけされ、「障害のある人に必要な配慮を、できるのにやらないことは差別である」ということが明確に示された。
(小口将典)