公告(宗教法人)

 信者その他の利害関係者に一定の事項を周知させることである。宗教法人の場合、その対象が信者その他の利害関係者とされている点に特徴がある。公告の方法については、新聞紙または機関紙への掲載、宗教法人の事務所における掲示、その他公告事項を周知させるのに適当な方法で行うことが求められており、規則における絶対的記載事項とされ設立時の登記事項ともなっている。宗教法人の組織的行為に係る公告事項としては、①設立時には規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨、②被包括関係の設定または廃止に係る規則の変更をしようとするときは規則の変更の案の要旨を示してその旨、③合併しようとするときは合併契約の案の要旨を示してその旨があげられている。合併に関連しては、合併によって宗教法人を設立しようとする場合においては規則を作成し、その作成した規則の案の要旨を示して合併によって宗教法人を設立しようとする旨および合併に対する異議申述すべき旨の公告が必要となる。さらに、解散をしようとするときには解散に対する意見申述すべき旨の公告を行う。設立、規則の変更、合併、解散はいずれも所轄庁の認証を要するが、認証申請にあたっては、しかるべき公告をしたことを証する書類を添付しなければならない。宗教法人の運営上の行為に係る公告事項としては、①不動産または財産目録に掲げる宝物を処分または担保に供すること、②借入(一時的な借入を除く。)または保証をすること、③主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却または著しい模様替をすること、④境内地の著しい模様替えをすること、⑤主要な境内建物の用途もしくは境内地の用途を変更し、または、これらをその主たる目的以外の目的のために供すること、の各行為をしようとするときは、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならないとされている。公告の懈怠または不正の公告をした場合に対しては罰則(10万円の過料)が定められている。
(上松公雄)