公益目的不可欠特定財産

 公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産で、その旨ならびにその維持および処分の制限について、必要な事項を定款で定めている財産のことである(公益認定法5⑯)。公益法人においては、設立者・寄附者の意思を尊重することが求められる。また、公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産は安易に処分されるべきでないので、公益目的事業に不可欠な財産を特定することが規定されている。財産の具体的な例としては、美術品、歴史的価値のある建造物などがある。なお、公益目的取得財産残額を計算する際に、公益認定前に取得した不可欠特定財産については除外する(同法30Ⅱ)。つまり、不可欠特定財産の分だけ公益目的取得財産残額が少なくなる。公益認定の審査にあたっては、法人が不可欠特定財産として区分したものが、本当に事業に不可欠なものであるかどうかが審査される。また、不可欠特定財産は公益財団法人の基本財産に区分される。
(金子良太)