公益目的取得財産残額

 公益認定法30、同法施行規則48に規定される、毎事業年度末における公益目的事業財産の未使用残高をいう。公益法人は、公益認定が取り消されたときには公益目的取得財産残額に相当する額の財産を国、地方公共団体、他の非営利法人等(公益法人、学校法人、社会福祉法人等)に贈与する旨を、定款で定めなければならない(公益認定法5⑰)。そして、1か月以内に贈与されないときは国または都道府県に対する贈与契約が成立したものとみなされる(同法30Ⅰ)。各法人は、毎事業年度末に公益目的取得財産残額を計算し、行政庁に報告する必要がある。これは、万が一公益認定が取り消された場合であっても、当該法人が有する財産を公益目的に使用することを確保することを目的としている。公益目的取得財産残額を計算する様式が、定期提出書類の別表Hである。実際に公益認定の取消しが行われた時点で公益目的取得財産残額を過去にさかのぼって計算するのは煩雑かつ実行が不可能であるので、定期提出書類により各事業年度末の公益目的取得財産残額の計算を行うこととなっているものと考えられる。
(金子良太)