この基本的枠組みに基づき策定された公益法人制度改革関連三法は、平成18(2006)年3月に国会に提出され、同年5月に成立、平成20(2008)年12月に施行された。新制度の柱は、法人格取得と公益認定の切り離し、準則主義による非営利法人の登記での設立、主務官庁制廃止と民間有識者からなる合議制機関による公益認定、公益認定要件の実定化、中間法人の統合、既存の旧公益法人の移行・解散などとなっている。新制度導入時に存在した旧公益法人は、5年以内に新制度の公益法人か一般法人に移行申請する必要があり、この移行期間内に移行申請をしないと法定解散させられることとなった。旧公益法人24,317法人についてみると、平成31(2019)年4月1日現在、8,998法人は新制度の公益社団・財団法人、11,665法人は一般社団・財団法人に移行した。他方、3,650法人は、新制度の法人へ移行せず、合併、その他の法人類型への移行または解散に至っている。新制度導入に伴い税制の整備も行われた。公益法人は、収益事業(34業種)にかぎり法人税の課税が行われ、収益事業が公益目的事業と認定された場合には非課税となる。また、みなし寄附金制度の適用、利子・配当等の金融収益非課税などの優遇措置のほか、法人からの寄附には、特定公益増進法人に対する寄附として、特別の限度額が設けられ、財務大臣が指定した寄附金については、全額の損金算入が認められる。個人からの寄附には、所得控除、税額控除、相続税やみなし譲渡所得税非課税の扱いが講じられている。
(大貫 一)