公益認定基準

 行政庁が、一般社団・財団法人に対して公益性の判断をするにあたり、充足されるべき基準をいい、公益認定法上18項目が定められている(公益認定法5)。内閣府の設置する公益認定等審査委員会あるいは都道府県の設置する公益認定等審議会(合議制の機関)は、一般社団・財団法人からの公益認定申請に対し、公益認定基準に基づき、申請法人の行う公益目的事業等について審査し、認定または不認定の判断を行い、行政庁に答申する(同法32〜46)。行政庁はこの答申を尊重して判断を下す。公益認定を更新するためには、公益認定基準をすべて継続して充足しなければならず、基準を満たせない場合は公益認定が取り消される(同法29)。18項目の基準は、つぎのとおりである。①公益目的事業(同法2④)を行うことを主たる目的、②経理的基礎および技術的能力、③特別の利益、④投機的な取引を行う事業、⑤公益目的事業の収入、⑥公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれ、⑦公益目的事業比率、⑧遊休財産額の保有の制限、⑨理事と特別の関係がある者、⑩同一の団体の範囲、⑪会計監査人の設置、⑫役員の報酬等の支給基準、⑬社員の資格得喪に関する条件、⑭他の団体の意思決定に関与することができる財産、⑮不可欠特定財産、⑯財産の贈与、帰属先、⑰公益目的事業財産、⑱収益事業等の区分経理。公益法人制度改革関連三法は平成18(2006)年6月2日に公布され、平成20(2008)年12月1日から施行された。公益認定等委員会は、施行に先立ち、公益認定基準等に関する政令・内閣府令に関して審議、答申し、政府において平成19(2007)年9月に制定された。その後、公益認定等委員会は、制度の詳細のうち、明確にしておくことが、申請者にとっても、国・都道府県の審査当局にとっても有益であると考えられる事項について審議し、「公益認定等に関する運用について」(公益認定等ガイドライン)として取りまとめた。また、法人の行う個別の事業が「公益目的事業であるかどうか」すなわち「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するか」の事実認定にあたっての留意点としての「公益目的事業のチェックポイント」をガイドラインと並行して審議し、取りまとめた。
(初谷 勇)