公益認定

 行政庁が、一般社団・財団法人からの公益認定申請に対して、公益社団・財団法人として必要な公益性があると認定することをいう(公益認定法4、7)。行政庁とは、公益法人の区分に応じ、公益性の認定とその後の監督等を行う内閣総理大臣または都道府県知事である(同法3)。新制度への移行期間(施行日の平成20[2008]年12月1日から起算して5年を経過する平成25[2013]年11月30日までの期間)は、特例民法法人の公益社団・財団法人への移行認定申請に対して認定が行われた(整備法98、99)。内閣府の設置する公益認定等委員会あるいは都道府県の設置する47の公益認定等審議会(合議制の機関)は、一般社団・財団法人からの公益認定申請に対し、公益認定基準(公益認定法5)に基づき、申請法人の行う公益目的事業等について審査し、認定または不認定の判断を行い、行政庁に答申する(同法32〜46)。行政庁はこの答申を尊重して判断を下す。なお、認定を受けるためには、公益認定基準に適合することに加え、欠格事由に該当しないことが求められる(同法6)。内閣府の公益認定等委員会は、公益法人制度改革関連三法の施行に先立ち、平成19(2007)年4月に発足し、内閣総理大臣からの諮問を受けて公益認定基準等に関する政令・内閣府令に関して審議、同年6月に答申し、政府において9月に制定された。また、その後、同委員会は、制度の詳細のうち、明確にしておくことが、申請者にとっても、国・都道府県の審査当局にとっても有益であると考えられる事項について審議し、「公益認定等に関する運用について」(公益認定等ガイドライン)をとりまとめた。公益認定等委員会は内閣総理大臣から、公益認定等審議会は都道府県知事から、公益認定、勧告、命令、公益認定取消し等について諮問を受け、審議を行い、答申する。公益法人に対する行政庁の監督等としては、①報告および検査(公益認定法27)、②勧告、命令等(同法28)、③公益認定の取消し(同法29)、④公益認定の取消し等に伴う贈与(同法30)が定められている。その他、⑤変更の認定(同法11〜12)、変更の届出(同法13)に係る規定や、違反に対する罰則(同法62〜66)、⑥財産目録等の提出および公開(同法22)も監督の具体的な措置と捉えられる。行政庁による公益認定取消し事由には、公益法人が欠格事由(同法6)各号のいずれかに該当するに至ったとき等の必要的(強制的)取消し(同法29Ⅰ)と、公益法人が公益認定基準(同法5)各号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなったとき等の任意的(裁量的)取消し(同法29Ⅱ)がある。公益認定をした行政庁は、勧告、命令または認定取消しをしようとする場合、原則として公益認定等委員会などの合議制機関に諮問しなければならない(同法43Ⅰ②)。
(初谷 勇)