健康増進法

 医療費の増大や高齢化、生活習慣病の増加などを背景とした、国民の健康増進を総合的にすすめるための「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を具体的に支える法律として、平成14(2002)年8月に制定された。健康の増進に係る国民と国および地方公共団体の責務が定められており、国による国民健康・栄養調査の実施、食事による栄養摂取基準の設定や、地方公共団体による健康増進計画の設定、生活習慣病の発生の状況の把握、保健指導の実施等が規定されている。なお、健康増進法の施行に伴い、国民の栄養状態の改善を目的とする栄養改善法(昭和27年法律第248号)は廃止された。国および地方公共団体が、受動喫煙防止のための啓発、環境整備を推進することも定められている。また、特定多数の者に継続的に食事を提供する特定給食施設、乳児用、妊産婦用、病者用といった販売食品の特別用途表示に関しての規定もなされている。加えて、平成18(2006)年の医療制度改革で、老人保健法が高齢者の医療の確保に関する法律(平成20[2008]年施行)に全面的に改正されたことに伴い、旧法に基づく老人保健事業のうち、医療保険者に義務づけられない事業については、健康増進法を根拠とする健康増進事業として実施されることとなった。これにより、市町村は40歳以上65歳未満の住民に対し、介護予防のための健康手帳交付、健康教育、健康相談、機能訓練および訪問指導等の事業を健康増進法に基づいて実施している。
(山下智佳)