結社の自由

 結社とは、①多数の人々がある共同目的を達するために任意にかつ継続的に結合する行為であるとともに、②その結合によって構成された団体(社団)それ自体を意味する。結社の自由とは、①の場合、個人が国の干渉を受けることなく他人と結合しうること(個人的自由)をいい、その消極面として、団体への加入を強制されないことを含む。②の場合、団体の組織・運営が国の干渉を受けないこと(団体自治権)の保障を意味する。①の消極的結社の自由は、結社しない自由ともいいうる。民間非営利組織に関する法制度は、結社の自由と強い緊張関係に立つ。諸国の憲法上、結社の自由の重要性を承認しつつ、団体の活動が国の安全または公の秩序に危険性をもたらす場合、法制上、保障と規制のバランスの確保が図られる。「結社に対する国の干渉は、(a)結社を組織する個人に対する処罰、(b)団体の結成に関する事前抑制、(c)団体の活動に対する事後規制などにあらわれる。自由主義の原理は一般に、(a)結社を組織する個人を刑罰から解放することを意味し、(b)結社に関する許可制または届出制の禁止を要求し、(c)必要かつ合理的な禁止・解散制度しか認めない。」とされる。 憲法第21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」(第1項)とし、集会・結社の自由と表現の自由を一括した規定を設けているが、ヨーロッパ各国の憲法典では、結社の自由は集会の自由とともに集団行動の自由の1つであり、個人の行動の自由とは異なるものとして、伝統的に必ず集会・結社の自由と表現の自由が分離して規定される。民間非営利法人について、許可主義(改正前民法34)、認証主義(特活法)、準則主義(一般法人法)等による法定要件が不充足である場合に法人格を取得しえないことは、取引の安全などの見地からの規制であり、かつ法人格の否定即団体自体の否定を意味するものではないから、結社の自由に対する違憲的干渉とはいえないとされている。
(初谷 勇)