決算書類(農協)

 農協法54の2において、信用事業または共済事業を行う組合は事業年度ごとに業務および財産の状況に関する説明書類を作成し、公衆の縦覧に供しなければならいとされている。これは、組合員利用者、総会、行政庁その他の各方面に対してそれぞれの目的に適合した適切な財務書類を開示することにより、農協経営の透明性、健全性を確保するためのものである。農協の開示する書類には(1)通常総会(総代会)への提供書類、(2)行政庁への提供書類、(3)業務および財産の状況に関する説明書類(ディスクロージャー誌)がある。まず、通常総会に提供する書類は、①決算関係書類(農協法36)、②部門別損益情報(農協法37)がある。決算関係書類としては「計算書類」、「計算書類の附属明細書」、「事業報告」ならびに「事業報告の附属明細書」がある。なお、「計算書類」は㋑貸借対照表、㋺損益計算書、㋩剰余金処分案または損失処理案ならびに、㋥注記表で構成される。さらに、信用事業を行う農協等は「部門別損益計算書」を作成し、通常総会(総代会)に提出することになる。以上により、組合役職員は組合員に対する説明責任を果たすことができ、また、事業活動の結果生じた剰余金の精算額を確定することができる。つぎに農協は事業年度ごとに業務および財産の状況を記載した「業務報告書」を行政庁に提出する。子会社がある場合は、「連結業務報告書」を提出する必要がある(農協法54の2)。業務報告書には㋑事業概況書、㋺貸借対照表、㋩損益計算書、㋥キャッシュ・フロー計算書、㋭注記表、㋬附属明細書、㋣剰余金処分計算書または損失金処理計算書、㋠部門別損益計算書、㋷単体自己資本比率の状況、㋦その他参考となるべき事項が記載される。連結業務報告書には㋑事業概況書、㋺連結貸借対照表、㋩連結損益計算書、㋥連結剰余金計算書、㋭連結キャッシュ・フロー計算書、㋬連結注記表、㋣連結自己資本比率の状況、㋠その他参考となるべき事項が記載される。さらに信用業または共済事業を行う農協は、農協法54の3の規定に基づき、業務および財産の状況に関する説明書類(ディスクロージャー誌)として農林水産省令で定めた事項を記載した説明書類を作成し、公衆の閲覧に供する義務がある。また、子会社がある場合には子会社等の状況や連結情報の記載が求められている(農協法施行規則204、205)。なお、監事の監査対象は計算書類および計算書類の附属明細書である(農協法36V)が、農協法で定められた一定規模以上の組合等は計算書類およびその附属明細書について、監事の監査のほかに会計監査人の監査を受けることが必要となる(農協法37の2Ⅲ)。従って、計算書類を作成した理事等は会計監査人に計算書類等を提出するとともに監事も会計監査を行う責務があるため、監事に対しても計算書類等を提出する(農協法施行規則147)。
(白土英成)