決算関係書類等(中小企業協同組合)

 決算関係書類と事業報告書を指す。決算関係書類は、損益計算書、貸借対照表、財産目録、剰余金処案または損失処理案である。中協法40Ⅱでは「組合は、主務省令で定めるところにより各事業年度にかかる財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処案または損失処理案(決算関係書類)及び事業報告書を作成しなければならない。」としている。なお決算関係書類と事業報告書は、監事の監査を受けなければならず(中協法40Ⅴ)、さらに理事会の承認を受けなければならない(中協法40Ⅵ)。適時に正確な会計帳簿の作成が求められ(中協法41Ⅰ)、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、会計帳簿およびその事業に関する重要な資料を保存しなければならない(中協法41Ⅱ)。事業報告書は通常総会において組合の事業年度内における活動状況等に関して組合員に報告する書類であり、組合の状況を的確に記載することが必要である。記載事項として、組合員の事業活動の概況に関する事項、組合の運営組織の状況に関する事項があり、具体的には事業の状況、組合員数および出資口数の増減、会議開催の概要、一般事項、後発事業の開示がある。財産目録は、まず資産の内容、つぎに負債の内容を示し、その差額を差引正味財産として表示する。財産目録における資産の評価は、この中協法施行規則または法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得原価評価を付す。負債については、この省令または法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿に債務額を付す。貸借対照表は、資産の部・負債の部・純資産の部に区分表示し、作成するにあたり企業会計原則に準拠しなければならない。さらに資産は流動資産・固定資産・繰延資産に区分し、固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、外部出資その他の資産に区分する。負債は、流動負債と固定負債に区分する。純資産の部は、組合員資本と評価・換算差額等に区分し、さらに組合員資本は、出資金、未払込出資金、資本剰余金、利益剰余金に区分する。損益計算書は、事業収益、賦課金等収入、事業費用、一般管理費、事業外収益、事業外費用、特別利益、特別損失に区分表示する。さらにこれらを細分化し表示することが求められている。
 剰余金処案または損失処理案は、当期未処分剰余金または未処理損失金、組合積立金取崩額、剰余金処分額、次期繰越剰余金に区分表示する(中協法規則107)。組合会計における剰余金の処分には、法定されているものとして中協法58Ⅰの準備金と中協法58Ⅳの繰越金の積立てがあり、それぞれ当期純利益額を基準として10分の1以上を利益準備金として、20分の1以上を教育情報費用繰越金として積み立てることが義務づけられている。たとえ当期純利益金額が少額であっても積み立てねばならない。
(櫛部幸子)