決算関係書類(漁業協同組合)

 経済事業未実施非出資組合においては、財産目録および事業報告ならびに監事監査報告が、それ以外の組合等については、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案または損失処理案、注記表、事業報告および附属明細書ならびに監事等監査報告が決算関係書類となる(水協法11Ⅰ⑤⑥⑦、40Ⅱ、Ⅶ、水協法施行規則107)。経済事業未実施非出資組合とは、組合員に出資をさせない組合で、購買事業、利用事業、販売事業を行わない組合のことをいう(水協法11②、11Ⅰ⑤、⑥、11Ⅰ⑦)。経営管理委員を定款で定めている組合については、理事会および経営管理委員会が監事等の監査を受けた監査報告書以外の決算関係書類(決算書類)を承認し、通常総会通知の際、経営管理委員が決算関係書類を組合員へ提供する。それ以外の組合では、理事会が承認をし、理事が組合員へ提供する(水協法40⑥、⑦)。監事は、組合の役員で、理事および経営管理委員の職務の執行を監査する(水協法34Ⅰ、39の5Ⅰ)。監事は、貸借対照表等の決算書類に関する事項のほか、当該組合の理事または経営管理委員の職務の遂行に関する事項を内容とする監査報告を作成する必要がある(水協法施行規則160ⅠⅡ)。ただし、特定組合等は、これら組合等が、決算書類につき、全国連合会(会員の監査および指導を行う漁業協同組合連合会で、全国の区域を地区とし、かつ、組合員の貯金・定期積金受入事業を行う連合会を会員とするもの)の監査を受けなければならないことから、特定組合等の監事監査報告の内容は異なってくる。特定組合等とは、組合員の貯金・定期積金受入事業を行う漁業協同組合または水産加工業協同組合で、その事業年度開始時における貯金等合計額が200億円以上の組合等をいう(水協法41の2Ⅰ、87Ⅷ、96Ⅲ、水協法施行令14Ⅰ)(平成5年政令第328号)。特定組合等の監事は当該組合の理事または経営管理委員の職務の遂行に関する事項等のほか、全国連合会の監査の方法または結果を相当でないと認めたときは、その旨およびその理由、重要な後発事象、全国連合会の職務の遂行が適正に実施されていることを確保するための体制に関する事項を内容とする監査報告書を作成することとなる(水協法施行規則160Ⅲ)。
 なお、全国連合会が監査事業を行うには、次の事項を備える必要がある(水協法87の2、水協法施行規則230)。①監査の要領および実施の方法ならびに監査事業に従事する者の服務に関する事項を監査規程で定め、行政庁の認可を受けなければならない(これらの変更、廃止も同様)。②監査に水産業協同組合監査士を従事させなければならない。③監査に関し、公認会計士または監査法人が公認会計士法2(昭和23年法律第103号)における監査証明業務および非監査証明業務の業務を行う旨の契約を公認会計士または監査法人と締結しなければならない。
(田口安克)