(井上祐介)
ゲートキーパー
緊急時を除いて、患者は登録した診療所において、かかりつけ医の診療を受け、かかりつけ医が必要と判断した場合にのみ、専門医の診療や入院医療を受けることをいう。国民保健サービス(NHS)が展開されているイギリスでは、患者は登録したかかりつけ医(GP)の診療を受け、かかりつけ医がより専門的な検査や診療が必要と判断した場合に、専門医(consultants)による診療や入院医療を受けることが可能になる。かかりつけ医は専門医に患者が集中することを防ぐ機能を有している。日本でも医療資源の効率活用と必要なときに必要な医療を受けられるアクセス性を守るために、かかりつけ医と専門医の役割を明確化し、ゲートキーパー機能を有するかかりつけ医を広めようとする流れがある。平成25(2013)年には政府の社会保障制度改革国民会議の報告書において「緩やかなゲートキーパー機能を備えたかかりつけ医の普及は必須である。」とし、令和元(2019)年の政府の全世代型社会保障検討会議の報告書においても「一般的な外来受診はかかりつけ医機能を発揮する医療機関が担う方向を目指す。」としている。かかりつけ医には「ゲートキーパー」の機能だけでなく、患者の状態や価値観も踏まえて、適切な医療を円滑に受けられるようサポートする「ゲートオープナー」の機能も有している。