グループ法人課税

 法人税法では、各法人が申告や納付を行うこととしているが、企業グループを対象とした法制度や会計制度が定着しつつあり、法人税法においても企業グループを考慮する連結納税制度およびグループ法人税制(グループ法人単体課税制度)を導入している。連結納税制度は、平成14(2002)年度税制改正により導入され、連結親法人と連結子会社のすべてで構成されるグループを1単位として、連結親法人がそのグループの連結納税義務者となり、連結所得の金額等をまとめて連結確定申告書に記載して法人税の申告や納付を行う制度である(法人税法4の2〜4の5)。なお、連結納税制度は、令和2(2020)年度税制改正により、制度の簡素化等のため、グループ通算制度に改正される。この改正により、損益通算等は連結納税制度と同様に維持するが、各法人が納税主体となる単体申告に変更される。グループ法人税制は、平成22(2010)年度税制改正により導入され、完全支配関係がある内国法人間で譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、その譲渡損益調整資産に係る譲渡損益の計上を繰り延べ、譲受法人において譲渡や償却等の事由が生じたときまたは譲渡法人と譲受法人との間で完全支配関係がなくなったときなどにその繰り延べた譲渡損益の全部または一部を取り戻すという制度である(同法61の13)。連結納税制度(グループ通算制度)とグループ法人税制も100%のグループ企業を対象とするなどの共通点があるが、連結納税制度(グループ通算制度)は選択適用であることに対し、グループ法人税制は強制適用となっている。
(金子友裕)