組合員勘定(農協)

 北海道における農業協同組合(農協)の大半で実施されている農協組合員勘定制度のことである。「組勘」と呼ばれる。昭和36(1961)年北海道農協中央会によって創設された。組勘はもともと将来の収入となる販売代金を農業者に前貸しし、生産資材や生活物資を掛売りする仕組みであり、農業者への資金供給・資金決済等の機能をもっている。組勘の仕組みは、まず、農協と個々の農業者との間で組勘口座が設定され、農協と農業者の取引は組勘口座ですべて処理される。なお、農業者とは、農民または農業を営む法人(その常時使用する従業員の数が300人を超え、かつ、その資本金の額または出資の総額が3億円を超える法人を除く)をいう(農協法2Ⅰ)。農業者が農協から生産資材等を掛けで仕入れ、組勘口座に計上されるが、その後、農業者の農産物収入が組勘口座に入金されていき、相殺される仕組みとなっている。なお、掛買仕入金額の上限は「供給限度額」として各農業者の営農計画書等に基づいて設定される。組勘は資金借入システムでもあり、収支の自動記帳システムでもある。また、組勘は農協にとって、情報収集ツールであり、農業者への営農指導を可能にする。組勘の大きな特徴は、会計期間内での実際の収入額、支出額のみに着目し、収支バランスを重視している。いわばキャッシュ・フロー会計的な思考が導入されている。農業の季節性や年次変動のなどの大きさなどを考慮して改良が重ねられてきた制度であり、特に資金回収までのタイムラグが長い北海道農業においては組勘の存在意義は大きなものとなっている。
(白土英成)