金融資産収益

 積極的な事業経営を通じて稼得される収益以外の収益のうち、預貯金等の利子や有価証券などの配当を指す。その他、有価証券や先物取引などに係る売買益や為替差益なども、金融資産収益に含まれる。公益法人等または人格のない社団等は収益事業から生じた所得に対してのみ課税されることから(法人税法4Ⅰ)、公益社団・財団法人が行う公益目的事業から生じた所得については収益事業から除外される(法人税法施行令5Ⅱ①)ので、金融資産収益については、収益事業から生じた所得にかぎり課税され、公益目的事業から生じた所得は非課税とされる。この金融資産収益に当たる利子・配当等については、所得税法別表第1に掲げられている公共法人等が収受した場合、所得税および復興特別所得税は課さない(所得税法11。ただし、一般社団・財団法人は所得税法別表第1に掲げられている公共法人等に該当しないことから、このかぎりではない。)。なお、収益事業に属するものとして法人税の課税対象とされた利子・配当等に対して源泉徴収された所得税および復興特別所得税は、申告の際、納付する法人税額から控除するが、公益法人等または人格のない社団等が支払いを受ける利子および配当等で収益事業以外の事業から生じるものにつき課される所得税および復興特別所得税については適用しない(法人税法68Ⅰ、Ⅱ)。源泉徴収税率は、利子については所得税が15%、他に復興特別所得税が0.315%である。配当については所得税が20%、他に復興特別所得税が0.42%(上場株式等に係る配当の場合は平成28[2016]年1月1日以後が支払日のものについては15%、他に復興特別所得税が0.315%)である。
(宮井幸亮)