許可主義

 通常法律で禁止されていることを、行政が特別の場合に許して実施できるようにすることである。日本では、法人の設立は法の規定によって行われる。それがどのような規律に従って設立されるのか、設立に関する規制の厳しい順に、特許主義、許可主義、認可主義、認証主義、準則主義等に区分されている。特許主義は、日本銀行など特別法に基づく法人に関するもので、それを除くと、許可主義は、設立に関する規律が最も厳しいと分類される。認可主義の場合、設立要件に合致すれば、行政は認可する必要があることに比べ、許可主義のもとでは、許可するかしないかについても、行政の自由裁量に任されている。とはいえ、通常は、許可であっても、公平性の観点から、法に定める要件を満たせば許可される。公益法人の設立については、旧民法のもとでは許可主義とされてきたが、公益性の判定など、数値化された基準が明確でなかったこともあり、許可の審査も長引くなど、公益法人の設立は比較的困難であった。平成20(2008)年に施行された公益法人制度改革関連三法により、一般社団法人および一般財団法人は、定款の認証を受ければ自由に設立できる(準則主義)こととなった。また、設立後は、内閣府または都道府県による認定を受けることで、公益法人となることができる。
(石川千晶)