共同募金受配者指定寄附金制度

 共同募金とは、民間の社会福祉施設などに対する財政補塡のために行われていた民間の募金活動を制度化したものであり、都道府県の区域を単位として、毎年一定の期間内にかぎって行われる寄附金の募集である。そして集められた寄附金は、その区域において社会福祉事業、更生保護事業その他の社会福祉を目的とする事業を経営する者(国および地方公共団体を除く)に配分される。そして寄附者が社会貢献事業の一環として、その寄附金を受け取る者(受配者)およびその寄附金の使途を指定したうえで寄附を行う場合で、一定の要件を満たしたときに、税制上の優遇措置を受けることができる制度が、受配者指定寄附金制度である。共同募金活動を行う中央共同募金会は、社会福祉法人であって下部に都道府県を単位とする共同募金会を有し、「赤い羽根」は共同募金の象徴となっている。共同募金を受け取る者となりうる社会福祉法人や更生保護法人は、税制上の特定公益増進法人に該当するため、法人税の課税所得の計算上は、一般の寄附金とは別枠にて損金算入限度額が計算される。特定公益増進法人に対する寄附金については、一般の寄附金に比してより多くの損金算入額が認められるものの、資本金等や所得の金額に係る一定の制限が設けられており、寄附金全額を損金算入することはできない。各都道府県の共同募金会に対する寄附金等は財務大臣の職権により指定寄附金として指定されており、共同募金を通して間接的に特定の社会福祉法人等に寄附を行うことで、寄附者は課税所得の計算上寄附金全額を損金算入できるのが、共同募金受配者指定制度である。なお、指定寄附金は、特に公益性が高く、広く一般に募集されており、教育や社会福祉等の増進に寄与するために緊急を要するものに充てることが確実なものとして財務大臣が指定したものであり、一般包括的に指定されているものと個別指定されているものがある。共同募金関係は、一般包括的に指定されているものの1つである。
(名古屋保行)