業績評価(経営)

 特定の組織が一定期間に達成したパフォーマンス(活動の成果)の評価をいい、インプットとアウトプットを対比した効率で評価される。非営利組織の目的はミッションの遂行であり、パフォーマンスの良否はアウトプットに加えてアウトカムも考慮に入れることが必要である。アウトプットは、受益者である顧客に対する製品・サービスの提供量であり、定量的に評価できる。アウトカムはステークホルダーのニーズの充足度(満足度)、ミッションの遂行度であり、定量的に測定することが難しく質的評価にならざるをえない場合が少なくない。たとえば、病院の診療者数はアウトプット、完治までの日数はアウトカムである。業績評価は、評価主体によって関心のある評価視点が異なり、評価視点によって評価対象および評価方法が左右されるという関係にある。非営利組織の評価主体は、資源提供者、サービスを受ける顧客、事業の許認可機関などの外部のステークホルダーと非営利組織の経営者・管理者である。評価視点は、事業の効率性を評価する生産性、事業の維持可能性を評価する採算性および安全性、事業のミッションへの適合度や受益者の満足度を評価する有効性があげられる。
 生産性は、事業の遂行度を示す業績評価指標として重視され、アウトプット/インプットで測定される。養護老人ホームを例にとれば、職員1人当たり収容者数(収容者数/職員数)が指標になる。採算性は、事業の維持に必要な収支のバランスを示す指標であり、収支比率(収入/支出)で測定される。安全性は、財務破綻の可能性を示す指標であり、流動比率(流動資産/流動負債)があげられる。生産性、採算性、安全性がアウトプットにかかわる評価であるのに対して、有効性はアウトカムにかかわる評価である。養護老人ホームでいえば、サービスに満足している入居者の割合(満足している入居者数/入居者数)である。活動の成果の良否を明らかにするため、業績評価基準として、過去の実績値、同種非営利組織の平均値、ベンチマーク(もっとも優れた非営利組織の業績)が用いられる。事業(活動)のPDCAにおいては、前年度の実績とともに前年度の予算が業績評価基準として重視される。
(石崎忠司)