共益組織

 主とする目的が営利以外である民間組織のうち、不特定多数の利益を追求することを目的とする公益組織に対して、特定のカテゴリーの人々の利益を追求することを目的とする組織を共益組織、あるいは共益型組織という。かつての公益法人制度では法人の設立が主務官庁の許可制になっていたが、主務官庁間に公益の解釈にズレがあり、会員間の親睦を目的とした親睦団体型や、特定の業界の事業者を会員とする業界団体型の共益組織にも免税をはじめとする税制優遇の資格が与えられる公益法人として許可されることがあった。そのため、平成8(1996)年9月に「公益法人の設立許可及び指導監督基準」が閣議決定され、同窓会などの親睦を目的とするもの、特定の団体や職域の者のみを対象とする福利厚生や相互救済を目的とするもの、後援会など特定個人の精神的、経済的支援を行うものなどは、公益法人として許可することは適当でないとされ、主務官庁間の基準の統一が図られた。これによって非営利ではあるが非公益型の団体すなわち共益組織にマッチする法人格がなくなったために、平成13(2001)年6月に中間法人法(平成13年法律第49号)が制定された。しかしこの中間法人は、公益法人制度改革のなかで新たな一般法人(一般社団・財団法人)のなかに統合される形になり、平成20(2008)年12月1日の一般法人法の施行に伴い廃止となった。なお、営利法人と非営利法人との中間という意味で、協同組合や共済組合などを指して中間法人という言葉が用いられることもある。
(吉田忠彦)