寄付者による使途の拘束のない純資産(米)

 2018年より、アメリカFASBの設定する会計基準においては、非営利組織の純資産を「寄付者による使途の拘束のある純資産」と、「寄付者による使途の拘束のない純資産」に2区分している。アメリカの会計基準では、資金提供者に対する情報提供を重視しており、寄付者による使途の拘束がある部分を、そうでない部分と区分して開示することに重要な意義がある。かつてのアメリカの基準では、純資産を「永久拘束純資産」・「一時拘束純資産」・「非拘束純資産」に3区分していたが、その際でも純資産の区分の基準として寄付者による使途の指定が重視されていたことに変わりはない。この区分は、貸借対照表の純資産の部だけではなく、フロー表である活動計算書においても同様に用いられている。なお、ここでいう「使途の拘束」はあくまで寄付者等の外部の資源提供者により行われるものをいい、非営利組織でよく行われる組織の内部の機関決定による拘束は含まれない。また、寄付者等による使途の拘束に基づいて純資産を区分する方法は、日本の公益法人会計基準等でも採用されている。
(金子良太)