寄附金税制

 個人が公益法人へ寄附をした場合、寄附をした個人の所得税について、所得控除または税額控除を選択適用することができる。ただし、所得控除はすべての公益法人に対する寄附について選択可能であるが、税額控除は行政庁からの証明を受けた公益法人へ寄附した場合のみ選択可能である。個人が支出した政治活動に関する寄附金のうち政党もしくは政治資金団体に対する寄附金または個人が支出した認定NPO法人等もしくは公益社団法人等に対する寄附金については、いずれか有利な方を選択することができる。
① 所得控除(所得税法78)
 寄附金の額の合計額-2,000円(寄附を行った個人の所得金額の40%を限度とする。)
② 税額控除(租特法48の18等)
イ 政党等寄附金特別控除額
 (政党等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×30%
ロ 認定NPO法人等寄附金特別控除額
 (認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×40%
ハ 公益社団法人等寄附金特別控除額
 (公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×40%
 イロハはそれぞれ100円未満を切り捨て、合計額は所得金額の40%を限度とする。また、イの額、ロとハの合計額は、それぞれその年の所得税額の25%を限度とする。  法人が支出する寄附金の損金算入を無制限に認めると、寄附金の税率相当額は国が実質的に負担したに等しくなるため、寄附金の損金算入額には制限が設けられている(法人税法37)。なお、低額譲渡および高額買入も実質的には金銭等の寄附と同様の経済的効果があることから、寄附金に含まれる。
① 指定寄附金等
 国または地方公共団体に対する寄附金(学校の入学に関しての寄附を除く。)のほか、公益社団・財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ、公益性および緊急性が高いものとして、財務大臣が指定した寄附金は、全額が損金算入される。
② 特定公益増進法人等(認定NPO法人を含む。)に対する寄附金
 公共法人等のうち、教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものと認められた特定公益増進法人に対する寄附金で、その法人の主たる目的である業務に関連するものは、以下の限度額まで損金算入される。
 特定寄附金等損金算入限度額=(資本基準額+所得基準額)÷2
 資本基準額:資本金等の額×0.375%
 所得基準額:所得金額(寄附金の額を控除しない額)×6.25%
③ 一般寄附金
 ①および②に該当しない寄附金は一般寄附金となり、以下の限度額まで損金算入される。
 一般寄附金損金算入限度額=(資本基準額+所得基準額)÷4
 資本基準額:資本金等の額×0.25%
 所得基準額:所得金額(寄附金の額を控除しない額)×2.5%
(藤井 誠)