議題提案権

 社員・評議員が理事に対し、一定事項を社員総会・評議員会の目的とすることを請求できる権利をいう(一般法人法43Ⅰ、184前段)。一般法人法43から45は「社員提案権」を、184から186は「評議員提案権」という表題を掲げ、社員・評議員の議題提案権(一般法人法43、184)、議案提案権(一般法人法44、185)および議案の要領通知請求権(一般法人法45、186)を規定している。「社員総会・評議員会の目的」とは、社員総会・評議員会の招集にあたり、理事または理事会が決定しなければならない事項(一般法人法38Ⅰ②、Ⅱ、181Ⅰ②)であり、議題を意味する。理事会非設置一般社団法人の場合には、社員は単独で理事に対し、一定の事項を議題とすることを請求することができ、請求の時期に制限はないので、事前に請求してもよいし、社員総会の会場において議題を提案することもできる(一般法人法43Ⅰ)。理事会設置一般社団法人の場合には、総社員の議決権の30分の1(定款による引下げが可能)以上の議決権を有する社員は、理事に対し、議題提案をすることができる(一般法人法43Ⅱ前後)。評議員の議題提案は評議員単独で行うことができる。理事会設置一般社団・財団法人においては、議題提案権の行使は、社員総会・評議員会の日の6週間・4週間(定款による引下げが可能)前までにしなければならない(一般法人法43Ⅱ後段、184後段)。この期間は、社員提案・評議員提案に係る議題も、招集通知に記載・記録する必要があるので、そのための期間を設ける必要があるために定められた期間である。社員・評議員より適法に議題提案権の行使があったにもかかわらず、その請求に係る事項を社員総会・評議員会の議題としなかった理事は、100万円以下の過料に処せられる(一般法人法342⑩)。
(渋谷幸夫)