基金増減の部(一般社団法人)

 正味財産増減計算書において特に一般社団法人において採用が認められている基金を募集あるいは返還することなどにより一会計年度における基金の金額が増減したことをあらわす正味財産増減計算書上の区分をいう。基金を募集して受け入れたときは、正味財産増減計算書の「一般正味財産増減の部」、「指定正味財産増減の部」のつぎに、「基金増減の部」を設けて、「基金受入額」を計上する。一方、貸借対照表では、正味財産の部を「基金」、「指定正味財産」および「一般正味財産」に区分することになる。
 基金受入時の会計仕訳
(借) 現金預金  ×××
  (貸) 基金受入額 ×××
 基金の返還については、一般法人法で返還可能な限度額が定められており、限度額の範囲内で社員総会の決議を経て返還が行われる。基金を返還するときは、「基金返還額」を正味財産増減計算書上の基金増減の部に計上する。
 基金返還時の会計仕訳
(借) 基金返還額 ×××
  (貸) 現金預金  ×××
 ここで、一般法人法144では、返還額相当を代替基金として計上しなければならないと定められていることに注意しなければならない。この場合、貸借対照表の一般正味財産を「代替基金」と「その他一般正味財産」に区分表示する。このことは、その他一般正味財産額が基金返還額を上回って存在している必要があることを意味している。なお、基金制度はもともと旧中間法人法(平成13年法律第49号)において採用されていた制度である。新法人制度に旧中間法人の制度が取り込まれたことにより一般法人法にも基金の定めが置かれることになった。このことにより平成20(2008)年会計基準になって、財務諸表の様式に「基金の部」や「基金増減の部」が設けられた。
(東葭 新)