基金会計(米)

 アメリカの政府組織において用いられている会計の手法である。基金会計は、ドナー、助成機関、管理機関、その他の個人・組織、または法律等によって使用が制限されている資源を記録するための会計制度である。それは収益性よりも説明責任を重視する会計といわれている。諸勘定がファンド別(基金別)に分類配列された1組の独自平均勘定群として会計処理される。各勘定は上記の資源提供者が課した制限や法律の規定に基づいて、拘束があるファンドと拘束がないファンドとして報告される。アメリカの歴史を辿ると基金会計は、1913年のニューヨーク市都市問題調査局『都市会計ハンドブック』に専門的な会計用語として記されていることから、1900年代初期から存在していた。しかしその確立は、1941年のアメリカ都市会計委員会による都市会計原則からであるとされている。現在アメリカではGASB第34号が基金会計を規定している。基金は、政府基金、財産基金、信用基金に大別される。政府基金の基金種類として一般基金、特別収入基金、資本事業基金、債務償還基金、特別賦課基金がある。政府基金は修正発生主義であり、損益計算書はつくらず基金収支報告書を作成する。財産基金は発生主義に基づいて損益計算書と貸借対照表を作成する。信用基金は各種信用基金と代理人基金に区別して記録される。また、しばしば基金バランスという用語が使用される。基金バランスとは、一般にGAAPに従って計算された政府基金の正味のポジションをあらわすための用語として使用される。しかし他の側面では、政府の予算ベースで計算された政府基金の正味のポジションを説明するための用語として使用される場合もある。なお、アメリカでは非営利組織における基金会計は純資産の増減を拘束別に捉えることで、純資産概念に取り込まれている。つまり、拘束ごとに区分経理を行っていると考えることができる。具体的には、拘束(使途の目的、たとえば目的とするプロジェクトなど)ごとに収支計算を行い、その残高が拘束に従って区分された純資産へ振り替えられる。従って、拘束ごとに区分経理を行う基金会計が純資産概念に取り入れられていると考えることができる。
(日野修造)