関連事業

 NPO法人や公益法人をはじめとする非営利法人の活動は、本来事業と関連事業に区別される。本来事業とは、NPO法における「特定非営利活動」や民法における「公益目的事業」など不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する事業を指す。関連事業とは本来事業を支えるための副業的事業(たとえば高齢者・障害者に対する移送支援事業を本来事業とする組織による生活支援事業や就労支援事業など)を指す。非営利法人は定款に定めがあれば該当分野の複数の事業に携わることが可能であり、また各分野を横断し事業を手掛けることもできる。このように、非営利法人が関連事業を展開する目的はおもに①収入源の多様化、②既存資源やノウハウの有効活用、③本来事業により生じるリスクの回避にあり、本来事業以外の事業進出による組織の継続的な成長を目的としている。内閣府「特定非営利活動法人に関する実態調査(令和2[2020]年度)」によれば、調査対象3,704法人(認証法人2,983法人、認定・特例認定法人721法人)のうち、認証法人の42.9%、認定・特例認定法人の56.4%が収入源の多様化を課題として取り上げており、さらに認証法人の21.2%、認定・特例法人の16.2%は事業規模の拡充が必要であるとしている。関連事業への進出は非営利法人の財源多様化や事業規模の拡大を実現するにあたり欠かせない戦略となっている。
(小熊 仁)