監督

 監督機関が被監督機関の行為を監視し、被監督機関に対して必要な命令等を行うことである。被監督機関の行為義務違反の有無・目的達成のための措置の合法性および合目的性を保障する作用を有する。非営利法人の監督についてはつぎのものがある。①公益認定法:公益法人は、毎事業年度の経過後3か月以内に、内閣府令で定めるところにより、事業計画書および収支予算書等(当該書類については、毎事業年度開始の日の前日まで)、財産目録等を行政庁に提出しなければならない(公益認定法22Ⅰ、同法施行規則37、38Ⅰ)。これらの書類をもとにして行政庁による監督がなされることになる。報告徴収および立入検査(公益認定法27Ⅰ〜Ⅲ)、勧告および命令等(同法28Ⅰ〜Ⅴ)、公益認定の取消し(同法29Ⅰ〜Ⅶ)等の規定が置かれている。事業計画書等の備置きおよび閲覧等(公益認定法21Ⅰ〜Ⅵ)は、加えて、情報公開を通じた市民による監視監督機能を担っている。②移行法人:認可行政庁は、移行法人の公益目的支出計画の履行を確保するために必要な範囲内において、移行法人を監督するものとする(整備法123Ⅱ)。移行法人は、公益目的支出計画の変更をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、認可行政庁の認可を受けなければならない(整備法125Ⅰ)。報告徴収および立入検査(整備法128Ⅰ〜Ⅲ)、勧告および命令(整備法129Ⅰ〜Ⅱ)、認可の取消し(整備法131Ⅰ〜Ⅴ)等の規定が置かれている。③社会福祉法人:所轄庁は、社会福祉法人に対する適正な運営を確保するため、同法人を監督(社福法56Ⅰ〜Ⅺ)するものとする。法令、行政処分もしくは定款に違反し、またはその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、期限を定めて、必要な措置を勧告することができる(社福法56Ⅳ)。所轄庁は、期限内に勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる(社福法56Ⅴ)。所轄庁は、正当な理由がないのに勧告に係る措置をとらなかったときは、期限を定めて、勧告に係る措置をとるべき旨を命じることができる(社福法56Ⅵ)。④特定非営利活動法人(特活法人):所轄庁は、特活法人が法令、行政処分または定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、その業務もしくは財産の状況に関し報告をさせ、または所轄庁の職員に、当該特活法人の事務所その他の施設に立ち入り、その業務もしくは財産の状況もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる(特活法41)。なお、行政庁による監督が十分に機能することが、これらの公益法人の適切な活動を担保するうえで望ましいことはいうまでもないが、この監督が仮に機能不全に陥れば、従来の公益法人制度で指摘された不適切な関係等による弊害が再燃しかねない。そこで、公益法人に対する監督については、行政庁ではなく専門家等の外部委員で構成される独立的な委員会等、たとえば公益法人監査委員会(仮称)等を設置して行うことを期待する意見がある。
(海津一義)