完全支配関係(グループ法人課税)

 当事者間の完全支配の関係(一の者が法人の発行済株式等[自己株式を除く]の全部を直接もしくは間接に保有する一定の関係)または一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係とされている(法人税法2⑫の7の6)。法人税法では、企業グループを考慮するグループ法人税制(グループ法人単体課税制度)を導入しているが、この制度は完全支配関係のある内国法人間で適用される。ここで、当事者間の完全支配の関係には、直接完全支配関係(一の者が法人の発行済株式等の全部を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係)およびみなし直接完全支配関係(一の者との間に直接完全支配関係があるとみなされる関係)がある(法人税法施行令4の2Ⅱ)。なお、みなされた法人による直接完全支配関係(みなし直接完全支配関係)がある法人が存在するかぎり、連鎖して当事者間の完全支配の関係と扱われる。グループ法人税制は、完全支配関係のある法人が対象となるため、個人や外国法人のような内国法人に該当しないものによる完全支配関係がある内国法人間についても適用があり、また、公益法人等や公共法人による完全支配関係がある内国法人間についても適用となる。この点で、連結納税制度(令和2[2020]年度税制改正によりグループ通算制度に変更)では、連結親法人となることができる法人は内国法人である普通法人または協同組合等にかぎるため(法人税法4の2)、内国法人に該当しない個人や外国法人および公益法人等や公共法人は連結親法人になることができない取り扱いと比べ適用範囲が広くなっている。
(金子友裕)