監査報告

 公認会計士等による監査、監事による監査、内部監査人による監査の概要と監査の結論の伝達をいう。いずれの監査においても、正式な報告は、監査報告書という書面による必要がある。監査の種類によって同一ではないが、通例、監査人が実施した監査の対象、実施した監査の方法と内容、監査人の意見等が記載される。法定監査では、短文式の監査報告書が作成される。公益法人を対象として法令に基づいて実施される公認会計士または監査法人による財務諸表等の監査では、「監査意見」(監査の対象と監査人の意見)および「監査意見の根拠」を記載し、続いて二重責任の原則を明確にするために、「財務諸表等に対する理事者および監事の責任」、ならびに「財務諸表等の監査における監査人の責任」のそれぞれを明確に区分したうえで、簡潔に記載される。また必要に応じて継続事業の前提に関する事項、重要な後発事象など特に強調すべき事項等が記載される場合もある。公認会計士等の監査意見は、公表される財務諸表等が日本において一般に公正妥当と認められる公益法人会計の基準に準拠して、適正に表示しているかどうかについての結論として表明される。これは、適正性意見と呼ばれる。従って、財務諸表等に重要な虚偽表示が認められる場合には、その重要性と広範性の程度によって、限定付適正意見または不適正意見が表明される。また、監査人が必要と認めた監査手続きの制約等によって十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった場合には、その重要性と広範性の程度によって、限定付適正意見が表明されるかまたは意見不表明とする旨の監査報告となる。なお、監事監査の監査報告書については、通例、監査の対象と方法についての概要記載と、事業報告の法令・定款準拠性についての監査意見、計算書類等の監査結果が簡潔に記載される。
(堀江正之)