仮認定

 特定非営利活動促進法(NPO法)は、平成23(2011)年および平成28(2016)年に大きな改正が行われている。「仮認定」は平成23年の改正で導入された制度で、平成28年の改正で「特例認定」と名称が変更された。法改正をめぐる政策過程では、政権交代や「新しい公共」連合、NPO議員連合、全国知事会という3つの唱道連合現象がみられた。平成23年の改正について、その背景および目的は、認定NPO法人制度の利用が僅少であること、約7割のNPO法人が財政上の課題を抱えていることに鑑み、活動の健全な発展をより一層促進することであった。具体的には、認定制度の見直しの1つとして、「仮認定」は、設立初期のNPO法人、特に設立後5年以内の法人について、財政基盤が脆弱な法人が多いという事実に鑑み、1回にかぎり、スタートアップ支援として、パブリック・サポートテスト(PST)を免除した仮認定(有効期間は3年間)により税制優遇を受けられる制度として導入された。また経過措置として、平成23年改正法施行後3年間は、設立後5年超の法人も仮認定を受けることができた。なお認定NPO法人制度は、NPO法人への寄付を促すことにより、NPO法人の活動を支援するために設けられた措置であり、NPO法人のうち一定の要件を満たすものについて、所轄庁が認定を行う制度である。認定の基準は8つあり、そのうちの1つがPSTである。PSTとは、広く市民からの支援を受けているかどうかを判断するための基準であり、認定基準のポイントとなるもので、相対値基準、絶対値基準、条例個別指定を選択できる。PSTの計算には議論があり、財務データ等を用いた客観的な根拠に基づくことで、信頼性のある公益性の認定をすすめ、日本に寄付文化を浸透させることが期待される。
(八島雄士)