学校法人会計基準

 昭和46(1971)年、文部省令第18号として私立学校振興助成法に基づき、補助金の交付を受ける学校法人が、適正な会計処理を行うための統一的な会計処理の基準として制定されたものである。昭和45(1970)年、私立大学等経常費補助金制度導入を契機として、補助金の適正配分および学校法人の経理の標準化を図る目的で制定された。計算書類は、資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表であった。学校法人会計基準は、他の非営利法人の会計基準と違う計算構造をとっていた。基本金組入れと消費収支計算である。基本金は、学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持しなければならないので、そのために必要な金額を帰属収入(負債とならない収入)から前取りして組入れする仕組みである。消費収支は、帰属収入から基本金組入額を控除した額の消費収入から、経常的な支出である消費支出を対応した差額であり、消費収支の均衡が重視されていた。平成25(2013)年、会計基準制定以来約40年ぶりに大幅な改正が行われた。予算配分目的とともに学校法人の適切な経営判断に寄与するものとした。作成すべき計算書類は、資金収支計算書、事業活動収支計算書、貸借対照表とした。文部科学省所管の学校法人には、活動区分資金収支計算書の作成も義務づけられた。活動区分資金収支計算書は、教育活動、施設整備等活動、その他の活動に3区分し、一般企業のキャッシュ・フロー計算書に相当する。事業活動収支計算書は、消費収支計算書の計算構造を修正している。基本金制度は維持したが、基本金組入前当年度収支差額を表示し、その後に基本金組入額を控除する仕組みに改定した。区分経理を導入し、教育活動収支、教育活動外収支、特別収支の3区分としている。貸借対照表の資産の部に特定資産の区分を新設し、基本金の部、消費収支差額の部としていたものを、純資産の部とし基本金と繰越収支差額に区分している。
(片山 覺)