学校債

 学校法人が借り入れによって資金調達を行った際に、債権者に対して発行する債権の証拠書類である。基本的には学校債の発行は負債による資金調達であり、通常は発行にあたってそれが出資ではなく、借入金であることが明示される。そのため会計上、学校債を発行した場合には貸借対照表における負債の部に計上される。なお、発行にあたっては同窓会員やPTAのメンバーといった学校関係者にかぎらず広く一般から募集を行うことができる。日本においては制度上すべての学校債が金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)における有価証券として扱われるのではなく、学校法人が発行した学校債が債権者を明示していない場合(指名債権でない場合)に有価証券に該当する。利息の支払いが債権者に行われることに加えて、広く一般に対して学校債を発行している場合もしくは学校債が学校関係者以外に譲渡される可能性がある場合にはみなし有価証券に該当する。学校法人が発行する学校債が有価証券もしくはみなし有価証券に該当し、募集条件や発行額等の一定の要件を満たした場合には、学校債を発行した学校法人は金融商品取引法が求める開示規制の対象となる。この開示規制の対象となった学校法人は、学校法人会計基準よりも企業会計の影響が強く反映された「有価証券発行学校法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」に従って貸借対照表、損益計算書、純資産変動計算書、キャッシュ・フロー計算書および附属明細書からなる財務諸表を作成する必要が生じる。
(古市雄一朗)