外発的動機

 報酬(モノ・カネなど)や名誉、賞罰、他者からの強制・命令、人間関係など、外部からの影響によって促された行動要因である。外発的動機による効果は一時的であるといわれているが、行動を継続しているうちに興味・関心が高まっていくことで、内発的動機に変化していくこともある。教育学での背景を踏まえると、戦前は賞罰による学習動機づけが教室内で蔓延していたものの、戦後の教育者たちは非人道的側面をもつ動機づけを徐々に否定していく流れがあり、認知的葛藤や知的好奇心を高める内発的動機が称賛されるようになった。さらに外発的動機は、身に付けていた内発的動機を阻害するものであり、学習動機づけではよくないものとされ、研究対象から無視された時代があった。しかしながら、内発的動機は行動そのものが目的化している一方で、外発的動機は行動そのものは手段であるという見方がある。昇進、資格の獲得、試験の合格など、何かを達成しようとする動機は外発的動機に分類されることが多い。そのため、内発的―外発的動機の関係を連続性で捉えることが必要である。ボランティアは無報酬であることが多いため、原則的には内発的動機が行動要因とされているが、活動継続には金銭的報酬がプラスに働く傾向にある。また、他者からの誘いなど、人間関係もボランティアの継続に良い影響を与える。さらに、非営利組織の有給職員は賃金水準をさほど重要視せず、社会貢献の意識が組織へのコミットメントを促すとされる。ただし、日本国内におけるNPOの調査では、絶対的な賃金水準よりも、組織内における相対的な賃金の差が満足度に影響を与えるという結果が出ている。
(菊池 遼)