改善命令

 監督行政庁が事業者等の私人に対し、法令に基づいて何らかの改善を命じる行為である。一般に、勧告等の行政指導と異なり、法的強制力を伴い、違反には罰則が課されるのが通例である。公益法人について行政庁は、①公益認定法5①〜⑱に掲げる18基準のいずれかに適合しなくなったとき(公益認定法29Ⅱ①)、②公益法人の事業活動等の遵守すべき規定を遵守していないとき等(同法29Ⅱ②③)のいずれかに該当すると疑うに足りる相当な理由がある場合には、期限を定めて、必要な措置をとるべき旨の「勧告」をすることができる(同法28Ⅰ)。行政庁はこの勧告をしたときは、内容を公表しなければならない(同法28Ⅱ)。行政庁は、この勧告を受けた公益法人が、正当な理由がなく、その勧告に係る措置をとらなかったときは、その勧告に係る措置をとるべきことを命じること(命令)ができる(同法28Ⅲ)。行政庁は、その旨を公示しなければならない(同法28Ⅳ)。公益目的支出計画を実施中の一般社団・財団法人(移行法人)について認可行政庁は、移行法人が①正当な理由がなく、公益目的支出計画による支出(整備法119Ⅱ①)をしない、②各事業年度の公益目的支出計画による支出(同法119Ⅱ①)が計画より著しく少ない、③貸借対照表上の純資産額が著しく少ないにもかかわらず(同法128Ⅰ③)、変更認可(同法125Ⅰ)を受けず、将来の公益目的支出計画の実施に支障が生じるおそれがある、これらのいずれか(同法128Ⅰ①〜③)に該当するときは、期限を定めて、必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる(同法129Ⅰ)。認可行政庁は、勧告を受けた移行法人が、正当な理由がなく、その勧告に係る措置をとらなかったときは、その勧告に係る措置をとるべきことを命じること(命令)ができる(同法129Ⅱ)。
 社会福祉法人について所轄庁は、正当な理由がないのに社会福祉法人が社福法56Ⅳにおける法令違反等(同法56Ⅴにおいて期限内に改善勧告に従わなかったときは、その旨を公表されることがある。)の改善勧告に係る措置をとらなかったときは、期限を定めて、当該勧告に係る措置をとるべき旨を命じること(命令)ができる(同法56Ⅵ)。
 NPO法人について所轄庁は、特定非営利活動を行うことを主たる目的とする等(特活法12Ⅰ②〜④)認証の基準の要件を欠くに至ったと認めるときその他法令、法令に基づいてする行政庁の処分もしくは定款に違反し、またはその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、そのNPO法人に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置をとるべきことを命じること(命令)ができる(同法42)。
(海津一義)