開設主体

 医療施設は、さまざまな開設者、すなわち開設主体からなる。医療施設の開設主体には、国、公的医療機関、社会保険関係団体、医療法人や個人などがある。日本では、病院の約70%を医療法人が開設しており、一般診療所の約40%を医療法人が、約40%を個人が開設している。なお、1つの開設主体が、1つの医療施設だけを運営するとはかぎらず、病院や診療所などの複数の施設で医療事業を行う場合もある。医療施設の開設主体には、つぎのような特徴がみられる。1つは、原則、営利目的の会社は、医療施設を開設できない。医療法は医療施設を開設する際に、開設地の都道県知事の許可をえなければならないとする(医療法7Ⅰ)。また、医療は、国民の生命や身体の安全に直接かかわるものであることから、営利目的の医療施設の開設は許可されない(同法7Ⅵ)。もう1つは、医療施設の開設主体ごとに、課税関係が異なる。よって、課税は、病院や診療所など施設ごとに行われるのではなく、開設主体である法人ごとに、それぞれの法人向けの会計基準が適用され実施される。たとえば、ある医療法人が複数の医療施設や介護老人保健施設を運営している場合、施設ごとではなく医療法人全体として医療法人会計基準が適用されることになる。
(井上定子)