解職

 ある地位または任務に就いている者の職を解くことをいう。一般法人法、社福法等において、代表理事等の地位を有する者を理事会の決議をもって解任することを「解職」という(一般法人法90Ⅱ③、社福法45の13Ⅱ③等)。理事会において、代表理事等を解職する旨の決議を行う場合には、対象となる代表理事等は、特別利害関係人に該当すると解されるので、決議に関与することはできない。従って、理事会の出席者数には算入されない(一般法人法95Ⅰ、Ⅱ等)。特別利害関係人となる代表理事等には、理事会における意見陳述権もないが、理事会がその者の出席および意見陳述を認めることは可能である。代表理事等の理事会における解職の決議は、その決議により直ちにその効力が生じるものであり、代表理事等であった者に対する告知があってはじめて効力が生じるものではないと一般に解されている。なお、代表理事等を解職されても、理事の地位を失うわけではない。ところで、代表理事等の解職を社員総会・評議員会の決議事項とする旨を定款で定めることはできるのであろうか。一般法人法において、理事会設置一般社団法人の社員総会または一般財団法人の評議員会は、法に規定する事項および定款で定めた事項にかぎり、決議をすることができる旨を定めている(一般法人法35Ⅱ、178Ⅱ)が、代表理事等の解職を社員総会・評議員会の決議事項とすることを禁じる法律上の規定はない。従って、代表理事等の解職を社員総会・評議員会の決議事項とするかどうかは、当該法人の内部自治の問題であると解することができる。
(渋谷幸夫)