介護報酬

 介護保険指定事業者等(事業者)が利用者(要介護者または要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用をいう。介護報酬は、介護保険法に基づき、厚生労働大臣が社会保障審議会(介護給付費分科会)の意見を聴き、各種サービスごとに設定される。介護報酬の金額は、各種サービスの基本的なサービス提供に係る費用に加え、各事業所のサービス提供体制および利用者の状況等に応じて加算・減算されて決定する仕組みとなっている。平成12(2000)年の介護保険制度の導入により、従来の措置制度とは異なり、介護報酬のうち一部は、事業者が利用者からサービス提供時(原則)に利用料として直接徴収する。利用者の自己負担は、原則として利用者の所得水準に応じて、介護報酬の1・2・3割である(平成30[2018]年改正)。他方、介護報酬の7・8・9割は、介護保険から介護給付費(保険給付分)として事業者に支払われる仕組みとなっている。介護保険法上、保険者たる市町村から委託を受けた国民健康保険団体連合会(国保連)が支払いまでの業務を担っている。具体的には、事業者は、サービスを提供した月の末日から10日までの間に国保連へ介護給付費を請求し、国保連の審査を経て、原則として請求月の翌月に支払いを受ける。
 以上のように介護報酬は利用者負担分と保険給付分に区分され、後者に関しては確実に未収金が都度発生することになる。たとえば事業者(社会福祉法人)は、介護給付費の請求時に、以下の会計処理を行う。
(借)介護報酬未収金(貸借対照表) ×××
  (貸)介護報酬収益(事業活動計算書) ×××
(借)支払資金(資金収支計算書) ×××
  (貸)介護報酬収入(資金収支計算書) ×××
 なお、介護報酬の使途制限は原則ないが、例外として「収益事業に要する経費」および「法人外への資金の流出(貸付を含む。)に属する経費等」については充当を禁止している。
(佐藤 恵)