会計年度独立の原則(政府)

 特定の年度における収入支出を他の年度のものと区分しなければならないとする原則である。国については、財政法12(昭和22年法律第34号)において「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」、また同法42は「繰越明許費の金額を除く外、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない。」と規定されている。地方については、自治法208Ⅱにおいて、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない。」、また同法220Ⅲにおいて「繰越明許費の金額を除くほか、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない。」として、同原則を明記している。財政法2が収入・支出・歳入・歳出の意義を規定し、現金主義に基づく予算・決算制度を前提としていること、同法4Ⅰが「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならない。」と規定していることに鑑みれば、会計年度独立の原則は、財政の健全化を担保する財政責任を規定するものと位置づけられる。しかしながら、同原則を厳格に適用するとかえって不経済や非効率になる場合もあるため、一定の条件のもとで翌会計年度に繰り越して使用することを認めている。国の場合には、同法第14の2に継続費、同法14の3に繰越明許費、同法15に国庫債務負担行為、地方の場合には、自治法212に継続費、同法213に繰越明許費、同法214に債務負担行為が規定されている。
(小林麻理)