会計区分

 会計主体の会計単位を2以上に区分した方が望ましい場合に設定される組織内部の会計単位である。政府会計が典型的であるが、一般会計と特別会計に会計を分かち、その単位ごとに会計を行う仕組みを採用している場合に認識できる独立した会計区分のことである。企業会計の場合には一般に政府のような会計区分を設けないが、内部管理目的で区分を設ける場合があり、それを外部報告の観点からはセグメントと呼んでいる。あるセグメントは他のセグメントと異なる事業を遂行しているとしても、単一の使命(目標)を追求する営利企業にあっては収益事業という点で同一であるため、政府や非営利組織の会計区分とは意味合いが異なる。会計基準上も識別可能な収益獲得単位とされている。政府(国・地方公共団体)は国民・市民の負託に応えるため多数の事業を同時並行的に行っている。令和2(2020)年現在、国が設ける特別会計は13あり、特定の事業を行う場合に設置される特別会計、特定の資金を保有し運用するための特別会計、そのほか他会計と区分する必要性があるとの観点から設けられた特別会計に分類される。地方公共団体もまた複数の特別会計を設けている。これら特別会計との対比でその他の事業が一括された単位を一般会計という。
 非営利組織(法人)においても、内部会計的には政府型の特別会計あるいは企業型の特別会計を設けて区分経理することは可能であるが、そのことと会計基準が会計区分を要請することは別の問題である。内部会計の観点にしろ、外部報告の観点にしろ、会計区分を設けることは組織内容を透明にする観点から重要である。しかしながら、組織活動により発生するコストに対する財源の獲得方法が異なるので、会計区分を設け各区分ごとに財務諸表を作成させた方が良いのか、組織全体の財務諸表を作成し重要情報の内訳情報として区分別情報を出させた方が良いのかについては、会計基準の設定に際して議論される重要論点となる。たとえば、公益法人会計基準を例にとると、平成16(2004)年基準では会計区分ごとの財務諸表等と法人全体についての総括表が求められていたが、現行基準では、法人全体についての財務諸表等と必要な場合に会計区分に関する内訳表の作成が求められるように変わった。
(柴 健次)