非営利組織(法人)においても、内部会計的には政府型の特別会計あるいは企業型の特別会計を設けて区分経理することは可能であるが、そのことと会計基準が会計区分を要請することは別の問題である。内部会計の観点にしろ、外部報告の観点にしろ、会計区分を設けることは組織内容を透明にする観点から重要である。しかしながら、組織活動により発生するコストに対する財源の獲得方法が異なるので、会計区分を設け各区分ごとに財務諸表を作成させた方が良いのか、組織全体の財務諸表を作成し重要情報の内訳情報として区分別情報を出させた方が良いのかについては、会計基準の設定に際して議論される重要論点となる。たとえば、公益法人会計基準を例にとると、平成16(2004)年基準では会計区分ごとの財務諸表等と法人全体についての総括表が求められていたが、現行基準では、法人全体についての財務諸表等と必要な場合に会計区分に関する内訳表の作成が求められるように変わった。
(柴 健次)