会計監査

 アメリカ会計学会の基礎的監査概念の定義によると、監査とは、経済活動や事象についての主張に関して、その主張と設けられた判断規準との間の合致の程度を確かめるために、証拠を客観的に入手し、かつ評価し、その結果を利害をもつ利用者に対して伝達する、組織的な行為過程である。会計監査は、前述の定義の監査対象を会計に限定することによって定義される。とはいえ監査の一般的な定義については、いまだ確立しているとはいい難い。会計監査は、株式会社に代表される営利組織体以外にも、組合、学校法人、一般社団・財団法人などの非営利組織体や、官庁、地方自治体のような公的組織体など、さまざまな組織体において実施される。組織体の大規模化・複雑化・取引の多様化がすすむと、企業の実態を反映させるための会計も複雑となってくる。そのうえ、組織体の開示する会計情報が社会的に影響を与えるようになると、会計情報の信頼性を担保するべく、監査を実施する特定の職業的専門家が必要とされるようになる。そこで法は、こうした職業的専門家として、公認会計士または監査法人に対し独占的に会計監査を実施できる資格を与えている(たとえば日本では会計士法2Ⅰ、34の5)。また会計監査は、組織体の内部の構成員が経理規程の遵守や会計上の改善を目的として内部監査として任意に行われることもある。
(佐久間義浩)